■横浜のれん会

 日本そば経営の人たちの中には、そば屋がわが国で一番伝統ある業種のせいで時に芸術を解し、人生を哲学し、歴史を凝視する人が少なくないが、出川修治店主は、その各面につき一家言を持っている。
 店名にも神経が行き届いている。JR関内駅に近い店内は、和風建築の伝統を随所に生かす。全体に曲線を避け、縦横の直線で表現、雅趣を生んでいる。
 1階テーブル席。2階は宴会、懐石料理の座敷席。
 そば汁とおそばが基本で、そば粉は風味、味、のどごしから見て最高の十勝蕎麦を使っている。
 江戸時代、そば打ちで大切な順位を「一鉢、二伸し、三包丁」、その難易度を「木鉢3年、伸し3ッ月、包丁3日」といい、木鉢作業の大切さと難しさを言い伝えてきた。 「おそばとお化けは、怖いほうがよい」とは、コシのあるそばをよしとするたとえで、ひとえに木鉢の善し悪しで決まる。

 「利久庵は、かたくなにこの伝統を継承し、木鉢作業に全精力を傾けている」というのが店主のこだわり。また「もりそばは、ワビ、サビにも通じ、素朴の中の美しさは、江戸の粋にもつながる」という。季節の旬の美意識溢れるメニューのひとつに、たとえば春菜そば。
 創業は昭和22年。ダシには利尻昆布を使い、節は宗田鰹、土佐節と仕上げには花鰹で香りを付ける。かえしは極上本醸造正油、甘味は奄美大島のザラメにミリンでととのえ、化学調味料は使わない。
 そばは、その軽食性がランチに適するが、ディナー性が乏しいため夜に弱い業種との定説を、茶懐石の料理を勉強することにより、利久庵にふさわしい料理の開発に努め、ディナー性にも成功している。
 時代考証のゆき届いた鬼平犯科帳の長谷川平蔵。
 小説、映画、テレビの中でも、鬼平は見事に落ち着いて『そば屋で一杯』を楽しくコナしている。店ご自慢の地酒や肴で、止めをそばで決めるのだ。江戸の粋がここにある。
 さてなぜ懐石料埋なのか。「お茶の心とそばの心が同じだから」という。季節感ある料理はもとより、様々な組み合せによるそばのメニューは、ナイスミセスに評判がよい。また、季節の炊き込み御飯も常時用意している。

〒231-0016
住所:横浜市中区真砂町2−17
電話:045−641−3035
FAX:045−662−2857
父通:JR関内駅北口
市営地下鉄関内駅下車
Copyright(C)2003 Yokohama-Norenkai. All Rights Reserved