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日本そば経営の人たちの中には、そば屋がわが国で一番伝統ある業種のせいで時に芸術を解し、人生を哲学し、歴史を凝視する人が少なくないが、出川修治店主は、その各面につき一家言を持っている。 店名にも神経が行き届いている。JR関内駅に近い店内は、和風建築の伝統を随所に生かす。全体に曲線を避け、縦横の直線で表現、雅趣を生んでいる。 1階テーブル席。2階は宴会、懐石料理の座敷席。 そば汁とおそばが基本で、そば粉は風味、味、のどごしから見て最高の十勝蕎麦を使っている。 江戸時代、そば打ちで大切な順位を「一鉢、二伸し、三包丁」、その難易度を「木鉢3年、伸し3ッ月、包丁3日」といい、木鉢作業の大切さと難しさを言い伝えてきた。 「おそばとお化けは、怖いほうがよい」とは、コシのあるそばをよしとするたとえで、ひとえに木鉢の善し悪しで決まる。
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「利久庵は、かたくなにこの伝統を継承し、木鉢作業に全精力を傾けている」というのが店主のこだわり。また「もりそばは、ワビ、サビにも通じ、素朴の中の美しさは、江戸の粋にもつながる」という。季節の旬の美意識溢れるメニューのひとつに、たとえば春菜そば。
創業は昭和22年。ダシには利尻昆布を使い、節は宗田鰹、土佐節と仕上げには花鰹で香りを付ける。かえしは極上本醸造正油、甘味は奄美大島のザラメにミリンでととのえ、化学調味料は使わない。
そばは、その軽食性がランチに適するが、ディナー性が乏しいため夜に弱い業種との定説を、茶懐石の料理を勉強することにより、利久庵にふさわしい料理の開発に努め、ディナー性にも成功している。
時代考証のゆき届いた鬼平犯科帳の長谷川平蔵。
小説、映画、テレビの中でも、鬼平は見事に落ち着いて『そば屋で一杯』を楽しくコナしている。店ご自慢の地酒や肴で、止めをそばで決めるのだ。江戸の粋がここにある。
さてなぜ懐石料埋なのか。「お茶の心とそばの心が同じだから」という。季節感ある料理はもとより、様々な組み合せによるそばのメニューは、ナイスミセスに評判がよい。また、季節の炊き込み御飯も常時用意している。
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